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大小様々な建物が建ち並ぶ
通りを抜け、
行き交う者の気配が殆ど無い
複雑に入り組んだ路地の奧。
袋小路となっているその場所に
無人を思わせる
うらぶれた店屋の佇まいで
反乱組織“鵠翼”の
隠れ家はあった。
店内と言い表すには
窓も扉も硬く閉ざされ、
商品と呼べる物が何もない
椅子とテーブルだけの室内。
どこか緊張した面持ちの
粗野な男達が5~6名程、
無言で集まっている
殺伐とした雰囲気の中、
突如、店内に響く、
訪問者を告げるノック音。
「……………………」
「……………………」
「……………………」
言葉もなく
無言で交わされる
男達の視線でのやり取り。
一気に
緊迫した空気が満ちる店内。
その出入口となっている扉の
一番近くに居た男が、
訪問者を確認するために
扉の覗き窓を開けると、
「…………………」
「どうした?」
訪問者を確認した途端に
訝しげな様子になる男に
掛かる仲間の声。
「いや……客だが…男と女だ」
「何?」
目的の相手が来たかに思えたが
違ったらしい男の声に、
各々が困惑する仲間達の表情。
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