†決†

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  「とにかく、俺達にも予定がある。今は特に忙しいんだ」 「でも…」 「頭目には会わせてやる。今日はそれで帰れ」 慣れない場に 不安げな様子の妹を背後に庇い 男達と交渉する兄だったが 組織の頭目に面通しするだけと 言い切られ、 仕方なく男達の言葉に 大人しく従うしかなかった。 「ねぇ……」 「うん、大丈夫だから…」 不安に満ちた表情で 兄の腕を引く妹に、 励ます微笑みを浮かべ返す兄。 「こっちだ」 「あ…はい…」 男の一人に促され、 店内の奧へと案内される。 窓の無い細く薄暗い廊下を 男達に前後を挟まれ歩く兄妹。 向かう先の部屋に 恐れを感じてか、 時折、 兄に怯えた眼差しを向ける妹。 だが…、 男達が迎え入れた その二人こそ、 隠れ家の内部と 組織の構成員の詳細な数を 調べながら、 より安全に頭目の元へ向かう為 兄妹の姿に変装したセキルと 可憐な妹を演じるロアだった。  
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