†決†

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  そこへ、 空を叩く羽ばたきの音が 入り込み、 本部の窓辺に降り立つ、 一羽の純白の鳥。 知性に満ちた虹色の鋭い瞳と 優美な体にしなやかな尾を持つ その鳥は、 「聖告鳥…」 誰かが呟く名。 各階層の移動に縛られず、 聖界を自由に飛び回り、 時に、 伝達用にも使われる聖鳥。 突然の聖告鳥の姿に 本部に集う官吏達の視線が 一斉に集中する。 聖告鳥は無数の視線に構わず、 窓から本部内へと入ると、 目的を持った動きで 窓から一番近い、 レティスの元へと向かい 肩に留まった。 そのまま意思の宿る瞳で レティスを見詰め、 直接、脳裏に語りかけてくる。 この状況で 聖告鳥が伝えて来る内容。 それは、 「次期とセキルが…隠れ家に入った」 第2階層でロア達の 護衛をしている クロア達からの報せ。 レティスの 最終局面を迎える言葉に、 皆が緊張を孕んだ息を呑む。 「直ぐに現場に居る智天に報せろ」 「はいッ!!」 ディフェルの指示に 直ぐ様、一人の官吏が応じると 本部を飛び出し、 再び、 ディフェル達を含む 本部は慌ただしく動き出した。  
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