†決†

8/49

223人が本棚に入れています
本棚に追加
/519ページ
  薄暗い廊下を案内された先は 「ここだ」 先頭の男に促され、 廊下同様に薄暗い暗い部屋へと 脚を踏み入れたロアとセキル。 足許に燈が灯され、 近くでなければ互いの顔が 分からない様にされている室内。 仄かに照された壁や床は 荒れてはいるが 手入れはされていると分かる 広く殺風景な内装に数脚の椅子。 先程の部屋よりも多い 数十人の男達が集っている部屋。 「あの…」 粗野な風貌の男達が皆、一様に 重く沈黙している暗い雰囲気に 何も知らず戸惑う兄の素振りで 妹を抱き寄せる様に 身近にロアを引き寄せるセキル。 「頭目…客です」 二人の様子には構わず、 案内してきた男の一人が 部屋の上座らしき場所に 声を掛けると、 ロアとセキルも然り気無く そちらに視線を走らせる。 「客…?」 「あぁ…はい、男と女の兄妹で…」 粗くれた男達の中では 似つかわしくない 澄んだ男の声での問い。  
/519ページ

最初のコメントを投稿しよう!

223人が本棚に入れています
本棚に追加