†決†

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  “現聖主の子息” 頭目の魔族の言葉に ざわつく室内。 「コイツらが……」 ロア達を案内した男が どこから見ても 兄妹の二人を見詰め呆然と呟き、 「黙れ…」 可憐な印象を一変させたロアは 男を冷たく一瞥すると、 「要求通り、来てやった」 セキルの隣に並び立ち 不遜な態度で魔族を見据えた。 可憐な妹だと思われていた ロアの変貌に唖然とする男達。 「報せを」 「あ?…あぁ……はい」 魔族の指示の声に我に返り 慌てて要求が通った事を 占拠現場の仲間に報せる為に 部屋を出ていく男。 「まさか、その様に愛らしきお姿で参られるとは思いませんでした。」 男が出て行くのを確認すると 改めて、ロアを見詰める魔族。 「身内に下らん余興好きが居るのでな」 魔族の姿を見た瞬間の動揺を 完全に消し、 淡々と言い捨てるロア。 ロアとセキルの正体が 明かされた事で 剣呑な気配が満ちる中での会話。 「とても良くお似合いで…」 「誉め言葉としてとってやる」 淡い微笑の魔族と無表情のロア。 互いの意図が見えない 言葉の応酬。 その間、ロアの隣で 室内に残る男達の位置と数を 確認しながら 動きを警戒するセキル。  
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