†決†

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  名とは個を示すモノ。 名がある事によって、 個は名が示す存在となり、 名が示すモノとなる。 故に 名とは力ある者達にとっては 一つの呪。 今あるモノから、 名が示すモノへと 変質させる言霊。 それを 上級魔族に使われたロア。 「兄上ッ!!兄上ッ!!」 ロアの魂の中に眠る古の存在。 †リデア† 前世でもある存在を 呼び覚ます為に 魔族が呼んだ名。 だが、 ロアと云う自意識が 消えただけで、 何者の意識も 目覚める気配のないの身体。 「兄上ッ!!」 予想外の事態に 一瞬、現状を忘れ、 セキルがロアの意識に 必死に呼び掛けていると、 「あに…ッ!?…これは…」 ロアの胸元で僅かな白光を放つ 小さな水晶のペンダント。 「父上…」 光の正体に気付き呟くセキル。 ロアの身分を証す役目も持つ 水晶のそれが、 現世の魂としての ロア自身の存在を固定し、 リデアの目覚めを妨害していた。 「やはり、我が主の言の通り…聖主の妨害はありましたか」 セキルの腕の中で 一向に目覚める気配の無い ロアの身体と、 聖主の力を宿してもいる 水晶の光を見詰める魔族。  
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