†決†

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  セキルはロアの身体を 大切に床に寝かせ、 守護結界でロアの周囲を囲うと、 「お前達の目的は古の者の復活と………私の命かッ!!」 立ち上がりながら 魔族を鋭く睨み据え、 白刃輝く聖剣を右手に具現させ 暗喩された目的を吐き捨てる。 「明言の通り…」 魔族は優美でありながら 悪辣な微笑を面に刷く。 始めから 次期聖主ではなく、 次期聖主の資格を持つ者と ロアとセキルの二人を 指定していた要求。 ロアには“次期聖主”の言葉が 認識できなかったが、 “資格を持つ者”と 複数の存在を暗示させる言葉と 無意識の中の理解から、 要求の指摘が 自分とセキルであると理解し 敢えて護衛の名目で、 セキルを反乱組織の隠れ家まで 連れて来ていた。 セキル自身も セキルが正当な次期聖主の 資格を持つ者であることを知る 聖主、ミレア、クロアも 解っていた要求の内容。 「私の命は容易くないぞ」 セキルが剣を構えた事で、 殺気立つ室内。 「よく存じております」 剣を具現させる事なく、 嘲笑を浮かべる魔族。 「故に…相手はこれ等に…」 そのまま魔族が 右手を空に閃かせると、 「ガッ!!…ガァァァァーッ!!」 「ッ!?」 周囲から無数の咆哮が上がり、 男達が苦しみ藻掻き、 漆黒の剛毛に覆われた 四肢の獣に変化する。  
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