†決†

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  関わっている事が判っていても 魔界との戦を避ける為には 安易に結論を出す事が 出来ない存在。 “魔族” 明確に出てきた黒幕の姿に、 「行きましょう」 奥へと続く薄暗い廊下を見詰め クロアが先を促すと、 「行かせませんよ」 「「「ッ!?」」」 虚空から響く優美な声。 「何者だ!?」 スイカ 誰何するガイルの怒声に 「初めまして…」 空間の揺らぎと共に顕れる 漆黒の青年。 漆黒の長い髪に白磁の肌。 冷麗とした美貌の面に 血よりも濃い石榴石の瞳。 優雅な佇まいで 仄かに揺らぐ黒炎の瘴気を纏う 青年の姿に、 「上級魔族ッ!!」 「ッ!?」 『あれって…ッ』 声を上げるガイル達と、 『魔王………ッ!?』 フィリルの驚愕。 「………………………」 瞠目し無言となるクロア。 数年前に目の前でロアを 魔王に浚われているクロアと フィリル。 忘れもしないその時の魔王と 瓜二つの容貌。 『違うッ!!……あれは上級魔族だ…』 よく視れば姿形は同じでも 瞳の色が違い、 何よりも纏う気配の鋭さ、 冷酷な冷たさが違う上級魔族。 フィリルが覚えている限り 闇より暗い闇色の瞳だった魔王。  
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