223人が本棚に入れています
本棚に追加
/519ページ
[“今日は”と“今晩は”…今はどの時間帯だろうね]
姿見の中からロアを
穏やかに見詰め、
ほんの少し困った口調で
現状に不似合いな内容を
リデアは語り掛けて来る。
[この封印は……流石、現聖主…君のお父さんと言ったところかな]
幾ら語り掛けても
無反応のロアに構う事なく
姿見の中から鏡面を撫で、
リデアは自身を鏡の形で
ロアの中に封印した
聖主の力を穏やかに指摘する。
「白々しい戯れ言をほざくな」
リデアを冷たく見据え、
辛辣に吐き捨てるロア。
「元から父上……いや、貴様の弟の力を利用して、望んだ結果だろうがッ」
リデアの計略と目的を
鋭く明かす。
リデアの弟。
それは、
“全てを護る者”として
リデアの監視と守護の宿命を
負っていた“セラフ”
宿命ゆえに
リデアの魂と共に
リデアの転生体の身内として
輪廻を繰り返す創世の神の
三番目の子。
現代に於て、
ロアの実父として転生した
リデアの古の弟だった、現聖主。
その力を利用して、
ロアの中で封印された状態での
復活を目論んでいたリデア。
[やっぱり…分かる?]
「ふざけるなッ!!」
同じ姿でありながら、
どこまでも穏和で
掴み処のないリデアと
無表情で淡々としながら
底冷えのする怒りを宿すロア。
明らかに対照的な二人。
最初のコメントを投稿しよう!