†決†

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  全ては 愛に狂う 聖主の宿命の元で…。 深すぎる親愛の情ゆえに 大罪の愛に狂うと 教えられたセキル。 「そんな…兄上は兄上で…」 「ならば、お前がこの世で最も深い情を持つ者は誰だ」 あまりに唐突で 信じ難い話の内容に 混乱する思考の中で、 自分にとってロアは 兄でしかないと、 大罪の未来を否定するセキルに、 聖主が向ける問い掛け。 セキルにとって、 この世で最も深い情を持つ相手。 それは、 「…………………あに…上…ですが…」 長い思考の末に出てきた相手。 幼い頃から護り支えたいと 想い続けてきた存在―兄― 最愛となる想いの感情と それが伴う相手が 兄弟愛ゆえの親愛情と兄しか 浮かばなかったセキル。 最悪を予測させる セキルの震えた答えに、 ロアの表情が強張る。 「でッ……でもッ!!兄上にはクロアが…クロアが居ますッ!!」 ロア自身は 自覚していないけれど、 周囲の者から視れば、 相思相愛の恋人同士である 兄と兄の側近、クロア。 その存在を指摘して 必死に大罪の可能性を否定する セキルに、 「相手ではなく、お前の気持ちの問題だ、セキル」 「ッ…」 ロアの気持ちは関係ないと 現実を突き付ける聖主。  
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