†決†

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  「セキル様は……必ず、次期様を御護りします」 不意に己の主である セキルの事を口にするガイル。 まるで ロアを護る事でセキルは、 この場に居るガイルでは 予測不可能な状況を 乗り切っていると、 自分自身に言い聞かせ、 最悪の予測を篩い捨て セキルの無事を確信するような ガイルの希望。 「クロアもあの方の為なら、容赦しなくなる奴ですから…」 おそらく、現在、 魔族の造り出した空間で 戦闘中であろうクロアの 心情を思い、口にするフィリル。 同時に、 『ロア様も…絶対…』 ただ護られるだけの立場を 最も厭いながら、 自分を護ろうとする者達の為に 敢えて護られる立場に立ち、 それでも、いざと云う時は 全てを護る立場に立つロア。 互いが互いを思い合い、 救い信じようとしている心。 正に 今のフィリル達の心情を 疑う事なく真っ直ぐに信じ 動いて居るフィリルの上官。 故に、 『後……約3時間…』 聖域以外の場に留まれる時間の 制限を持つ神族でもあるロア。 その限界寸前の残り時間を考え、 『3時間以内には…必ず何かの形で決着が着く…』 果たして、 クロア、セキル、フィリル達、 そして、ロア。 誰が、どの様な方法で 決着を着けるのか 分からなくても、 確実に終結を迎える時を数え、 フィリルはロア達の無事を信じ 今は事態の変動を待ち続ける。  
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