†決†

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  無音の果てを思わせる空間に 閃光と激しい劇鉄音が響く。 白光の攻めと漆黒の防御。 「容赦…ありませんねぇ…」 ぶつかり合い、 間近で攻めぎ合う神剣と魔剣を 狭間に置き、 清廉とした 無の表情でありながら 元の色に戻った深藍の瞳のみに 苛烈な怒りを宿すクロアを 見詰め、 「魔獣と成ったモノに止めを刺すときには…僅かばかりの躊躇いが有りましたのに…、」 拮抗する互いの剣を 横凪ぎに払い、 間合いの距離をとりながら 麗冷とした細面の美貌に ゆるりと嘲笑を浮かべる魔族 ―ネビアス― ネビアスの造り出した空間で 激しく繰り広げられる戦闘。 クロアは、 一度、開いた間合いの距離を 一拍の時も置かずに 直ぐ様、無言で一気に攻め込む。 「主が殺せと言えば殺し…、」 問答無用で攻め入る クロアの神剣を ネビアスは魔剣で受け止め、 「戦いの場に於て、騎士でありながら敢えて、名を名乗らず、主の僕としてどこまでも尽くす…、」 クロアの言動を語り、 「本当に……貴方は忠犬のよう…」 挑発しているが如く ネビアスは言葉を紡ぐ。 隠れ家で亜種の魔獣とされた 男達に、 ロアに下された命のまま、 止めを刺し、 主の従僕である者として、 名乗りを上げなかったクロアを 嘲笑うネビアス。  
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