†決†

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  自らを通して、 主を表されたのなら、 自らを通し、 主の誠の姿を語る― 何者にも貶める事のできない 誇りと忠誠、愛を持って、 ロアの側近であり 恋人でもあるクロア。 己の表を何一つ、改めず ロアの表だけを覆えす、 ただ一人の為だけに怒り、 どこまでも僕であるクロアに ネビアスは何故か 喜悦の笑みを浮かべる。 「誠に………貴方は面白いですね」 クロアの闘気に眼を細め、 「あの方が気に入られているのも分かる気がします」 ひそりと笑い 独白するネビアス。 「そろそろ…決着を着けますか?」 クロアの闘気に併せるように ネビアスは漆黒の瘴気を 全身に纏い、 緩やかに向ける問い。 決着が着かないのではなく、 決着が着けられない、 ほぼ互角の闘い。 「元より…」 これまで何度も打ち合った 神剣を構え直し、 初めからある目的で応じる クロア。 「時の経過も…気になる事でしょう?」 ロアの身にある時間の制限。 ネビアスの造り出した空間では 麻痺しかける時間の感覚。 それを指摘し、 クロアの動揺を誘うネビアスに クロアはセキルと共に居る ロアを信じ、 「覚悟…」 己の思いを殺し、 ネビアスの誘いには応じず、 一息に攻め込む。 激しくぶつかり合う 藍色の闘気と漆黒の瘴気。 二つの焔が無音の空間で衝突し 苛烈に炸裂する。  
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