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果てしない闇の空間に
たった一つ、置かれた姿見。
その鏡面に浮かび上がる
二つ光景。
意識の無い、
ロアの体を護りながら
魔獣との戦闘を繰り広げ続ける
セキルの様子と
ロアとセキルの元へ向かう為の
場と道を取り戻す為、
ネビアスと闘い続けるクロア。
姿見の中から、
その二つの光景を見詰め、
鏡面に浮かび上がる
殺伐とした悪夢の光景には
不似合い過ぎる、
柔らかで穏やかな微笑みと
口調で、
[彼も君の弟も頑張ってるね]
二つの戦闘の感想を語るリデア。
「黙れ…」
一方、姿見の外で
悔しげに握り締めた拳を
鏡面に当て、
悲痛な表情で
魔王の暗示に囚われ、
この場から動けず、
何も出来ずに
二つ戦闘を観る事だけを
強要されているロア。
僅かに髪の長さが違うだけの
瓜二つの姿でありながら、
全く対照的な二人。
現世での魂の主、ロアと
古からの前世の魂の主、リデア。
[彼…ネビアスは次席上級6位と言っても、それはただ単に、兄君の下に居る6人の直属の配下の内の一人と云う意味だから…君の恋人?…本当に強いね]
クロアとネビアスの闘いを
指摘して、
リデアは素直な称賛を含む声で
のんびりと批評を述べ、
「黙れ……、」
対するロアは
リデアの口調とは真逆の
感情が凍った冷淡な口調で
吐き捨てる。
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