223人が本棚に入れています
本棚に追加
/519ページ
[君の弟も、初陣なのに凄く…、]
「黙れと言っているッ!!」
クロアに次いで、
セキルを指摘したリデアの声に
重なるロアの怒り。
[…必死に健闘してる]
「ッ………」
何かの痛みを堪えるような
ロアの様子と怒りを物ともせず、
優しい口調で、
セキルへの批評を続けるリデア。
[ごめんね?……でも、羨ましいなぁ……]
何に対しての謝罪なのか
リデアは淡く苦笑し、
羨むではない、羨望の眼差しで
ロアを護るセキルの姿を眺め、
[やっぱり…、助けに行きたい?]
「助けではなく、始末だ…」
意識と精神を閉じ込めている
この闇の空間から脱け出し、
肉体の意識として、
目覚めたいかと訊ねるリデアに
一度、露にした怒りを圧し込め
振り絞る声で応じるロア。
[“始末”を着けられるの?]
純粋な問い掛けの意で訊ねる
リデアの問い。
自分の為に闘う者達を
護るだけではなく、
今ある状況の全てを
終結させるつもりの
ロアの応えだったが…、
「どう云う、意味だ」
リデアの問い掛けの真意は
更にその先にある、
[兄君の寸志……この状況に決着を委ねた方が良いんじゃないかな?]
ロアとセキルの
聖主の宿命の決着を示すモノ。
最初のコメントを投稿しよう!