†決†

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  [じゃあ、私と掌を重ねて…] リデアは何故か、嬉しそうな 明るく穏やかな微笑みを綻ばせ、 鏡面に両掌を当てる。 リデアに続いて、 ロアが無言で同じ様に 両掌を鏡面に当て、 鏡面越しに掌を重ねると、 [“君に与える…”] リデアが セフィロトの道具と成り、 [“君が私の…利用者だ”] ロアを 利用者として認める呪を紡ぎ―、 リデアの瞳から消える 意志の光。 姿見を挟んで重なる 意志のあるロアと 意志のないリデア。 銀月の美しい力の根源、 人形のような セフィロトの道具と成った瞬間 『悪しき思念の残骸よ消えろッ!!』 魔王の暗示を消す為の ロアの意志と、 白光が闇の空間に溢れ――。 ――――― セキルはロアの体を背後に 自身を取り囲む魔獣を見据える。 『後……7頭』 荒い息を吐き、 残る魔獣の数を数え、 『兄上には第2に着いた時に、神水を飲ませてる……』 ロアに残された時間を思いやる。 魔獣の爪で全身に 幾つかの怪我を負っている セキル。 幾ら、待っても クロア達が駆け付けて来ない今、 セキル、一人で 乗り切らなくてはならない現状。 クロア達が 駆け付けられない原因は おそらく、 セキルとロアを置いて消えた 上級魔族。  
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