†決†

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  果たして、魔獣の亜種とされた 組織の男達は、 この場に居た者達だけなのか。 今のセキルには 検討が付けられなかったが、 「グッ…ガァァァァッ!!」 「――ッ!!アッ!!」 セキルが剣を握り直す気配に 数頭の集団と追撃で 飛び掛かって来る魔獣。 「クッ!!」 横凪ぎと振り降ろしの閃光で 先頭となった魔獣を斬り伏せ、 「ギャッ!!アァァァァッ!!」 半獣に変わる男達の絶叫。 残る斬り伏せられなかった 魔獣の攻撃を なんとか切り抜け避けた筈の セキルだったが、 「あ……が…ぁ……、」 「ッ!?」 床に転がり落ちた 半獣の男達の一人の手が セキルの脚を掴み、 「ガァァァァッ!!」 「しま…ッ!!」 足許を取られたセキルに 鋭い爪を向け、 再度、魔獣が襲い掛かる。 セキルの上体を確実に捉えた 魔獣の攻撃が届く寸前、 「セキルーッ!!」 『え?』 意識が無い筈のロアの声と セキルの体を包み込む温もり。 「ッ!!」 圧し殺した苦痛の呻きと 押し倒される衝動。 「兄上ッ!?」 「結界を張れッ!!」 セキルの驚愕の声に 叩き付けるロアの命じ。 反射的に、 自分を覆うロアの体を抱き寄せ セキルが自分達の廻りに 守護結界を張り巡らせると 「兄上ッッ!?」 セキルを庇い、魔獣の爪を受け、 左肩から大量の出血をしている ロアがセキルの腕の中に居た。  
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