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「ならば、代償術は使わない」
「兄上ッ!!」
代償術を使わせないのなら
他の方法を取ると告げるロアに
募るセキルの苛立ち。
「如何なる方法であろうと…、」
「黙れッ!!」
この場を自らの手で
終息させようとするロアを
何としてでも止めようとする
セキルの胸倉を
ロアは右手で鷲掴み、
「私はお前達を生かす為に護られるので合って、お前達を犠牲にする為に護られるのではないッ!!私に決着が着けられる術があるならば、私が決着を着けるッ!!」
冷淡な眼差しで鋭く睨み付け、
「それが次期聖主である私の務めであり、今、最も犠牲が少なく済む必要な法だろうがッ!!」
叩き付ける怒りと
上に立つ者としての責任。
最後まで思い出せなかった
ロア自身の持つべき地位と
果たすべき役目。
“次期聖主”
そのまま、
「現聖主が第2子“セキル・S・セイン”汝は我が弟として次期熾天使長と成る者、」
弟、セキルを
次期熾天使長とし、従え、
「故に現聖主が第1子“ロア・S・セイン”次期聖主の名の元、我に下り、我が命に従え」
命を下すロア。
ただの一度も
セキルには向けた事の無い
上に立つ者としての兄の姿。
初めて目にする兄のそれに
セキルは逆らえず、
「ッ……次期聖主、兄上様の命…確かに承りました」
ロアを初めて敬称を付けて呼び、
ロアの弟、次期熾天使長として
次期聖主、兄の元に下った。
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