†決†

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  時折、セキルの結界の障壁に 飛び掛かってくる魔獣を尻目に 「法は…?」 「父上の力を使う」 「はぃ…?」 セキルの守護結界の中で 代償術を使わずに 決着を着けると宣言したロアへ セキルが結界を維持しながら 訊ねると、 この場には居ない 聖主の力を使うと答えるロア。 「父上は聖域に…」 「父上が聖域に居ても力を使う方法はある」 一体、どの様な方法で 聖主の力を使うのか 戸惑うセキルに応じながら ロアは胸元にある 聖主に渡された 水晶のペンダントを引き千切り 流れ出た鮮血で床に小さな 掌ほどの大きさの方陣を描く。 「セフィロトの苗木である私の体はある種、身に宿る力を具現させる器の道具だ」 ロアの持つ力と 力を宿す肉体との関係を 簡素に説明し、 「つまり、セフィロトの苗木の力が封印されている状態では空の器と同じ状態…」 ロアの血で描かれた方陣の上に 水晶のペンダントを置き、 更にその上に右手を重ね、 「ならば、血の共鳴を使い、私の体に父上の力を呼び込み、具現させれば良い」 「な……」 現聖主と次期聖主を繋ぐ 血の共鳴を利用し、 聖域に居る聖主の力を 自らの身に召喚すると言う、 とんでもない説明を あっさりとする。  
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