†水†

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  「……負傷者は学殿院教官が三名、突入部隊の兵が五名、全て軽傷。現場で直ぐに治療を終え、翌日、翌々日からは現場に復帰しています」 元老院が魔族と亜種に 犯行組織からあった要求の内容、 現聖主第1子であり 次期聖主でもあるロアと 現聖主第2子セキルの 直接の関わりを隠蔽し、 一部の事柄だけを纏め、 正式に発表した 事件の詳細と共に、 事件での負傷者の状況までを クロアは報告する。 「組織を利用し事件を計画、実行させた上級魔族の行方は不明。最下層禁域、境界区にあります境域結界を越え、魔界へと帰還した形跡も無いと、智天より報告が有りました」 犯行組織であった鵠翼の者達を 利用し、 魔王の計略の為に動いていた 上級魔族 ネビアス。 ロア達の前に仮の姿である 黒鳥の姿で現れ、 再会の予告を残し消えた ネビアスの行方。 ロアからの伝言を預りながら、 魔界へ帰った形跡が無いとする 報告に、 「あの姿では、境域結界も痕跡を残さずに通る事が可能だろう」 魔界と接する最下層禁域、 境界区に、 魔族の侵入を防ぎ、 魔界と聖界を隔てる為に 存在するが、 上級魔族の侵入を 優先して防ぐ為に、 下位の魔族、魔妖獣の侵入を 許してしまう事もある境域結界。 ネビアスのあの姿が 本当に当人の持つ仮の姿なのか、 聖界へ侵入する為に 魔王から与えられた姿なのか、 本当に魔界へ帰ったのか否かを 思案する声でのロアの指摘。 現段階では 何一つ、確認が取れず、 警戒を続けるしかない 上級魔族、ネビアスの存在。  
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