†水†

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  クロアからの 事件の報告が終わる頃合いで 室内に響くノック音。 部屋の主である ロアの応じを待たず、 直ぐに外側から扉が開かれ ロアの目覚めの気配を感じ、 様子を見に来た聖主が姿を顕す。 途端に ヒヤリ―とした空気が 満ちる室内。 既に寝台の上に 起き上がって居るロアを 聖主は無言で見詰め、 ロアは聖主の姿を無関心に 見遣り、 「クロア、席を外せ」 「はい」 クロアに退室を命じた。 クロアが退室し 聖主と二人切りになると、 「加減はして頂けたようで…」 先ずは第2階層で 聖主の力を召喚した時の事を ロアは告げる。 協力への感謝ではなく ただ、事実だけを確認する ロアの口調。 あの召喚の時、聖主は ロアの求めに応じ、 召喚される力の調整をしたが それでも発作を起こした ロアの心の臓。 原因は 力の召喚は勿論、 神気が少なく、 僅かだか瘴気まである 第2階層に長時間居た事や 失血等も含む、 身体への直接的な負担。 「痛みは、」 「どちらもありません」 左肩の怪我と 心の臓の具合の様子を纏めて、 簡素に確認する聖主へ、 同じく、 簡素に素っ気なく返すロア。  
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