†水†

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  「ならば、数日は大人しくしていろ」 ロアの背中から掌を離し、 父として、 聖界を統べる聖主として、 ロアの決意を聖主は認める。 そのまま、 用件は済んだとばかりに ロアの寝室を 退室しようとする聖主。 その背中に掛かる、 「私は貴方が何時から知り、何を考え、どうしたいのか…問うつもりはありません」 一度、はだけた寝着を 整えながらのロアの独白。 一体、 何時から気付いていたのか 聖主に問うことはしないとする 魔王の計略。 ロアの言葉に 聖主は一瞬、脚を止める。 そして、 「ただ………“貴方は、どちらをお望みですか?”」 聖主を見る事なく向けられる ロアの静かな問い。 “どちら” それはロアと ロアの中に封印した―リデア― そのどちらを、 欲しているのかと言う ロアの問い掛けに、 “聖界の名も無き主” “永遠の守護の魂の主” “全てを護る者” 古の時代でのリデアの弟、 セラフの転生体、 魂の持ち主である聖主は…、 何も答えなかった。  
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