†水†

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  「そうか」 ロアの目覚めの確信に 安堵を滲ませたセキルの呟き。 そして、 ロアの目覚めと クロアが退室している状況、 聖主が診察を兼ねた 対面中と云う説明に、 「なら……お前は何も聞いていないな?」 前置きも主語も無く、 唐突に確認してくる セキルの言葉。 それは、 セキルがロアの弟であり、 クロアがロアの側近であり、 恋人でもあるからこそ通じる、 ロアの決意についての問い。 「伺って居りません」 ハッキリと応じるクロアの応え。 ロアがいつ、 セキルと決着を着けるのか まだ、分からない二人。 ロアの弟、セキルと ロアの恋人、クロア。       フ  オ 二人の間に降り降りる 冷たい沈黙。 「クロア…、お前は本当に兄上を護り抜くつもりなら、喩え、相手が兄上の身内であろうと躊躇うな」 不意を衝くように クロアへ忠告を告げるセキル。 暗黙としてクロアが生命の間で セキルに剣を向けた時の事を 示す忠告。  
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