†水†

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  それが、 弟も同じ宿命を背負っていた。 あの日。 セキルが成人した日。 聖棟の聖務室で明かされた真実。 セキルこそが 正当な次期聖主の資格を 持つ者であると明かされ、 ―『そん…な…話は、一度も聞いていませんッ!!父上ッ!!』― ―『兄上…』― 信じたくない事実に 声を上げてしまうロアと 想像した事すらない突然の話と ロアの反応に驚き戸惑うセキル。 ―『次期、黙らんか』― ―『叔父上こそ、黙って下さい』― 全てを知りながら、 素知らぬ振りで セキルを養子として引き受け 育てた叔父の諌めに、 ―『父上!!』― ―『黙れ』― ―『ッ』― 父ではなく、聖主として、 ロアの抗議の声を黙らせる 聖主の命。 ―『そんな…兄上は兄上で…』― 母の事に聖主の宿命、 ロアが本来持つ、 セフィロトの苗木としての 道具の定め。 セキルが成人した事で 明かされた真実の全て。 それを聞いても 罪業の未来の否定するセキルに ―『ならば、お前がこの世で最も深い情を持つ者は誰だ』― 聖主の有無を言わせぬ指摘と、 ―『…………………あに…上…ですが…』― 偽らざるセキルの本心。  
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