†水†

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  けれど、 簡単には実行する事が出来ない 方法だった。 故に もっと違う方法をロアは探した。 しかし、 生まれ持った次期聖主の資格と 宿命を消す、 別の方法がそう容易く 見付かる訳もなく、 時の経過と共に セキルは宿命の狂いで ロアを追い詰め始めた。 その結果、 起きたとも言える今回の全て。 不意に 聖本殿の扉が開く音が響き、 祭壇の正面に向かい立つ ロアの右手、 居住棟へと繋がる扉から セキルとクロアが姿を顕す。 「漸く、覚悟が決まりましたか?」 「あぁ」 数日振りに会うロアへ 淡く苦笑し確認するセキルに 祭壇の上を見詰めたまま、 無表情で短く応えるロア。 「随分と時が掛かりましたね」 「まぁな」 他愛のない確認の会話。 その最中に、 セキルとクロアが顕れた 扉の向かい側、 聖本殿から聖棟に続く扉から 聖主が姿を顕し、 聖主、セキル、クロア、 そして、ロア。 揃うべき者達が揃うと、 ロアは、 「立ち会いも揃ったことだ…クロア、」 「はい」 「セキルにお前の神剣を貸せ」 「!?」 「兄上!?」 祭壇に置かれたロアの剣。 聖主、次期聖主だけが 持つ事を許される、            マコト 神をも殺める事の出来る真の剣。 冷たい白光を放つ、 抜き身の真剣を片手に、 クロアの神剣をセキルに与える 命を下した。  
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