†水†

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  「お前から聖主の資格と宿命を消す方法は一つ」 ロアがクロアに下した命に 瞠目するセキルに、 「私の真剣で、お前ごとお前の生まれ持つ定めを断つ事…」 セキル自身も知っている 宿命を消す術を静かに語るロア。 聖主、次期聖主のみが 持つ事を許される真剣は、 神をも殺める事が出来る 真の剣ではあるが、 ただ殺めるだけのモノではなく 神の意の元、 救済を与えると云う側面も持つ、 剣の主である聖主、次期聖主の      シン 意志に従う心の剣。 故に、 ロアがセキルを生かし、 聖主の資格と宿命を断つ事だけ 願い振るえば、 セキルを生かしたまま、 聖主の資格と宿命を 消す事が出来た。 ただし、 全てが無事に済むと云う 保証はなく、 ただ、生かした状態で 生まれ持った資格と 宿命を消す事が 可能である云うだけ。 場合によっては 生きる事が最悪となる 可能性も含む諸刃の術だった。 ロアが第2階層で 聖主の力を召喚し、 最後に救った筈の男達の様に…。 無事である確証がないからこそ、 直ぐに決断できなかった。 何より、 最愛であった弟のセキルに 剣を向けるなど、 ロアには考えられなかった。  
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