†水†

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  けれど、 【ロアの迷い。】 それが招いた結果がある。 ―[兄君の寸志……この状況に決着を委ねた方が良いんじゃないかな?]― 決断できなかった心と迷い、 消せずに残る弱さを 指摘したリデアの言葉が過る。 その弱さを棄て、 迷いを断ち切り、 責を負うためにも、 「まさか、神の騎士であるーSーの称号を持つ私に、丸腰の弟を斬れと言うつもりか?」 セキルに剣を向け、 宿命の決着を着ける 決意をしたロア。 †ロア・S・セイン†の名に 刻まれた、          サー 神の騎士であるーSー[Sir]の称号。 白光を宿す細身の刀身である ロアの真剣を片手に、 騎士の礼服姿で、 弟に剣を向けるのならば、 騎士の誇りとして決闘で挑む ロアの決断に、 「剣を…、貸すことは出来ません」 セキルではなく、 クロアが苦渋の声で 真っ先に抗いの意を唱えた。 ―クロアの持つ神剣― ロアの持つ真剣と 打ち合う事になれば、 唯一、対等に闘う事が出来る剣。 だが、 ロアの側近と云う騎士でもある クロアにとって、 「剣は騎士としての…」 ロアの命に抗う クロアの進言を途中から、 「誇りであり、魂であり、忠誠の証」 ロアが拾い、 「己の心と誠の半身」 騎士である者にとっての 剣の意を淡々と語る。  
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