†水†

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  神剣が クロア自身でもあると云う証。 「故に、この私、主の誇りを護り、この身に残るやも知れん生涯の傷を刻むのなら、お前だけしか有り得んのだろうが!」 喩え、主、ロアの命であっても セキルに神剣を貸すことは 出来ないとするクロアに 鋭く告げるロア。 どの様な状況であったとしても ロアに干渉できる者は クロアだけだとする心。 「それとも何か?お前は私の髪の一筋であっても、他の者の跡が残る事を良しとするのか?」 冷笑を浮かべ、 クロアに向けるロアの問い。 ただ、側近として 忠誠を誓うだけではなく、 個としての情愛から、 愛してやまないクロアの主。 その問いにクロアは、 「………セキル様、お使い下さい」 「クロアッ!?」 騎士としての誇りと ロアの側近、 恋人としての忠誠の狭間にある 心の葛藤を抑え殺し、 神剣を敢えて鞘から抜き、 セキルへと差し出した。 「ですが、兄上の脚は…」 クロアに差し出された 神剣を前に、 ロアと剣を交える事を迷う セキル。 短時間しか歩く事のできない ロアの両脚。 更に言えば心の臓の事もあり とても闘えるとは言えない ロアの身体。  
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