†水†

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  「数日、歩けなくなっても構いません」 セキルの指摘にロアは、 聖主の方へ視線を向け、 「ですから、今、暫くは昔のように動けるようして下さいますよね」 確認でも、願いでもなく、 当たり前の決定として、 「それがセフィロトの苗木の管理をする、護番でもある貴方の役目なのですから」 一時的に失った機能の再生を 聖主に告げた。 そして、 ロアが聖主に身体の機能を 再生されている間も クロアに差し出された神剣を 取れずにいたセキルは、 「……兄…、」 「私はお前に剣を向ける覚悟を決めた」 「…………………………」 再生が終わると 聖本殿の中央へと向かうロアに 「ならば、お前も私に剣を向ける覚悟を決めろ」 ロア同様、 兄に剣を向ける事を躊躇う セキルへの最後の助言。 堅い緊張の沈黙。 「……………ッ…分かりました」 決して譲るつもりのない ロアの決断に 逡巡する想いを棄て、 全てを終らせる覚悟で、 セキルはクロアの神剣を取った。  
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