†水†

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  しかし、 その迷いすら赦さない 兄の意志、決意、覚悟が、 攻め込んでくる 兄の剣にはあった。 気付けば、 セキル自身も本気で ロアへと攻撃を仕掛け、防御し、 何とか隙を見付けては反撃する。 だが、 幼い頃から力が封印され、 全く使えず、 身を護る術は剣しかないと、 生き抜く為だけの剣術を 聖主に教え込まれたロアと、 力が使える為に、 剣は眼に見える牽制と 物理的攻防の武具でも あるとして、 実戦的な戦いの為の剣術を 叔父に教え込まれたセキル。 実戦での経験、 剣術を競う大会等を含む 実績に於ては、 先の初陣を併せ セキルの方が上。 一方、 ロアは16の年に両脚を負傷し、 障害を負ってからは、 一度も剣を握っていなかったが 殺傷のみを目的とする 剣術しか持たないロアと 戦闘に於ての 戦術の一つとしての 剣術しか持たないセキルでは 剣を振るう意味と覚悟、 生まれもった才覚、 技術的な面からも 歴然した差があった。 全ての結果として、 圧倒的な実力差でロアに 追い詰められるセキル。  
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