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昔から、怒る時は
笑顔でセキルの頬を
軽く引っ張っていたロア。
いつまでも目覚めないセキルを
心配し続けていた思いが、
目覚めているセキルの様子と
態度に安堵した事で
怒りに転じたらしいそれ。
しかし、
ロアの手が頬から離れると、
「ッ~~!!腹立たしいお気持ちは分かりますが、夢でない確認はご自分で……ッ!!」
セキルは頬を抑え、
怒りだけではなかった
ロアの行動に
抗議の声を上げる。
―が、
「…………………………」
セキルを無言、無表情で
真っ直ぐに見詰めるロアに、
「ッ……ですから…、夢でない確認なら……ッ!!」
言葉が詰まるセキル。
「ッ……確認ならッ!!」
「…………………………」
ひたすら無言のままの…、
無言、無表情となれば、
美しく冷たい印象の中に
可憐な姿までも宿す兄、ロア。
「ッ………次からは………クロアの頬で確認して下さい」
「分かった」
そんなロアに、
自分の頬を抓ろとは
到底、言えないセキルだった。
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