†祷†

12/41
前へ
/519ページ
次へ
  昔から、怒る時は 笑顔でセキルの頬を 軽く引っ張っていたロア。 いつまでも目覚めないセキルを 心配し続けていた思いが、 目覚めているセキルの様子と 態度に安堵した事で 怒りに転じたらしいそれ。 しかし、 ロアの手が頬から離れると、 「ッ~~!!腹立たしいお気持ちは分かりますが、夢でない確認はご自分で……ッ!!」 セキルは頬を抑え、 怒りだけではなかった ロアの行動に 抗議の声を上げる。 ―が、 「…………………………」 セキルを無言、無表情で 真っ直ぐに見詰めるロアに、 「ッ……ですから…、夢でない確認なら……ッ!!」 言葉が詰まるセキル。 「ッ……確認ならッ!!」 「…………………………」 ひたすら無言のままの…、 無言、無表情となれば、 美しく冷たい印象の中に 可憐な姿までも宿す兄、ロア。 「ッ………次からは………クロアの頬で確認して下さい」 「分かった」 そんなロアに、 自分の頬を抓ろとは 到底、言えないセキルだった。  
/519ページ

最初のコメントを投稿しよう!

223人が本棚に入れています
本棚に追加