†祷†

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  「しかしだな……、」 全てが終わったように見えても 簡単には納得できないらしい、 ディフェルの苦言の呟きに、 「預り知らない所で関わり、何とかしようと見守る者が居るだけでも、あの子達の救い、支えにはなっていたのではないか?」 占拠事件が起こるまで 可能な限り聖域に留まり、 セキルの近くに居た ディフェルをレティスは慰める。 「それは…、そうであれば良いが…」 難しく顰めた表情で 取り敢えずはレティスの慰めに 納得しようとするディフェル。 レティスは仕方なさそうに 呆れた表情を浮かべ、 「セキルの婚約者候補の中に、セキルの幼馴染みの天族の姫を入れて居ただろう」 セキルの婚約を密かに 進めていたディフェルの行動を 指摘する。 セキルのロアに対する執着が 大罪を招くモノと考えた時、 それを回避する為に、 ディフェルがセキルへと 勧めた婚約。 「それは…、昔から周囲の者達にも、そう云う仲に見えていた姫を…」 その中の一人に、 セキルが聖域を出た後に出会い 幼い頃から仲が良く、 恋仲の関係に近かった天族の娘、 セキルの一つ年下の乙女を ディフェルはしっかりと 婚約者候補の中に入れていた。 「影の立て役者はお前と云う事だ」 「おい」 結果として、 件の幼馴染みと婚約が決まった セキル。  
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