†祷†

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  「まぁ、セキルが振られなくて良かったな」 「………………………」 先の見えない状況で、 牽制の為の 偽りの婚約者候補の中に、 よりによってセキルの本命を 忍ばせていた事を、 遠回しに責めているレティスに 反論の余地が無いディフェル。 そんな二人のやり取りの最中に 「失礼します。あれ?」 占拠事件での 事後処理の報告書を手に フィリルが帰室する。 「えーと……ディフェル様?」 レティスの前に 何とも言えない表情で立つ、 ディフェルに困惑するフィリル。 そんなフィリルにレティスが 「今、セキルが聖域を出る事と、セキルの婚約の話をしていたんだよ」 ロアの直属の部下であるために フィリルも無関係では無い、 セキルの件を報せる。 すると、 「えッ!?……えぇッ!?ロア様ではなく、セキル様が婚約なさるんですかッ!?!?」 何かを履き違えている フィリルの叫び。 「えッ…でも、クロアの恋人ってロア様で…、婚約ってロア様との筈じゃ…えぇぇぇ!?」 頭を抱えて、 恐ろしい内容で混乱している フィリルに、 「…………………………」 「…………………………」 フィリルの勘違いの内容を 理解し、 沈黙してしまうディフェルと レティス。  
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