†祷†

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  当たり前に外へと出る クロアの手。 その光景に、 「各階層には外部からの侵入を防ぐ為に、防護の障壁結界が張り巡らせてある」 クロアも知る、各階層を護る 障壁結界の事をロアは口にし、 「防護結界は基本的に、外部からの侵入は防ぐが、内部からの流出は防がない」 防護結界の基本的な仕組みを 説明する。 そして、クロア同様に、 断崖の外へと腕を伸ばすロア。 すると、 コツリ―と、 指先が硬質音を立て、 断崖の切り立ちで止まる ロアの腕に瞠目するクロア。 静かに笑うロアの気配。 吹き上げる風が ロアの長い銀月の髪を揺らし、 「セフィロトの苗木の私だけが………この聖域から出られない」 深く俯くロアから上がる告白。 「聖主となれば、永久にこの地に幽閉される」 現、聖主である父の許しが 有るからこそ、 聖域の外にロアは出られる。 それは、 許しを与える者が居るから、 可能な事であり、 ロア自身がその地位に 立ってしまえば、 永久に不可能となる事。 「ロ…」 「それでも…ッ私は聖主に成らなくてはいけない」 喩え、 永遠に 聖域に幽閉される事になっても 聖主となる以外に、 ロアが今ある心のままに 生きられる術は無い現実。  
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