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「うまいなー」
社食でランチ中
1番先に定食を食べ終わった彼はお毒味役の役目を無事に果たしていた
「よかった、」
色んな意味で
「それにしてもさぁ、どうしたの?特上羊羹。これ今品薄で手に入らないらしいよ」
隣で麻衣子がオムライスを食べながら聞いてくる
「伯父さんにでも貰った?」
「いや、違う。おじさんだけど伯父さんではない」
「なにそれ。」
隠す必要も無いので
この二日間の朝の事を二人に話す
1番最初に反応したのは、
お毒味役の彼
「あのなー、
なんかあったらどうするんだよ」
「カタキはとるよ、」
「そういう事じゃなくて、橘になんかあったらどうするんだよって言ってんの」
なんて優しいセリフ…
出来る男はやっぱり違うわなんて思っていたら
「…菜々子さぁ、やっぱりケイト君の事引きずってちょっと自棄になってない?知らないおじさんと公園デートなんて」
「あのね、デートじゃないし、
引きずってもない」
公園の彼の事も捨てられた彼の事もすぐさま否定する私に
「ちょっと待て、引きずってって何の事?」
お向かいからさっきよりも驚いた声が聞こえてきた
あー、そういえば東野くんに言ってなかったな
「彼氏としばらく前に別れたの」
「…ま、っじで?」と
驚く彼に
「ま、っじで」と
別れた原因を事細かに説明し始めたのは、私ではなく
何故かオムライスを食べ終わり
羊羹に手を伸ばす親友だった
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