Asterios・アステリオス

21/27
25324人が本棚に入れています
本棚に追加
/1077ページ
アステリオスは全ての力が失われる前に尊へと向かって来た。追加アプリ【ミノタウロス】は発動を終えていない。 流出する血液のことなど御構い無しに、操作された脳は力を発揮させようと指令を送り出し続ける。 アステリオスは傷を負った右腕ではなく、左手で攻撃を仕掛ける。 「遅い。そして雑。そんな攻撃が俺に当たるわけないだろう、肉達磨」 尊の視界の中のアルゴススクリーンには書き込みが一気に流れる、賞賛と興奮の書き込み。文字の羅列は逆流する滝のようだ。 ーーカスケード、俺に力を貸してくれ。 「時間よ再び俺に従え、オー……バー…………クロ…………ック……………!」 尊がアステリオスの拳を避けるのは容易だった。 だが、それでも【オーバークロック】を発動させた理由はただ一つ。 アステリオスの終わりの姿を目に刻むためだ。 左の拳を踏み込んで避ける。ねっとりとした空気が皮膚を覆うと尊の心は昂った。 じわじわと脳の奥から熱が伝わる。熱い、沸騰したマグマのような熱。 その熱は瞳まで伝わり、尊の瞳からは赤い涙が滲んだ。耳や鼻からも液体が漏れ始めるのを感じる。 自分の中に感じるにはカスケード・滝創一と日向太陽の視線。 三つの重なり合う視線がアステリオスを睨んでいる。 互いの記憶も重なり合い、関係した全ての人の顔が浮かぶ。
/1077ページ

最初のコメントを投稿しよう!