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何処からか良い香りが漂う
「‥‥流石に今日はもう食べられないな」
そう言いながら自分の体の違和感に気がつく
少し前にあれほど食べて歩くのすら精一杯だったはずが凄く軽く感じる
「ってかここ何処だ?」
辺りは薄暗く、見える範囲には何も何処と判断出来るような物はない
「‥‥夢かな....?」
勝手に夢の中にいると解釈する。
それと同時に自分の体が暗闇の中で浮いているとわかった
全身がふわふわと浮遊し、自分の体重を全く感じない
とても不思議な感覚であった
「これ凄く美味しい!」
下から話し声が聞こえてきた
声のした方の下を見ると一ヶ所、スポットライトを当てているかのように明るく
幼い頃の自分がテーブルで食事をしているのが見える
「良かった
朝から頑張って作ったから今日のは自信があったのよ
喜んでもらえて嬉しいわ」
幼い自分の前に座り共に食事をしている母親が見える
「母さん....」
自然とそう呟いていた
共に夕飯を食べている2人は楽しそうで、最後に見た母さんの姿よりも若若しく幸せそうに見える
きっとあの時はまだ離婚もしていなくて、母さんも少しの寂しさを抱えながらも幸せを感じていた時なのだろうな‥
もちろん俺も父さんは仕事が忙しいだけで、家族が大好きだと純粋に想い続けていた時だろう
その姿を見、自分があんなに無邪気に笑っていた時期があったのだと驚かされる
俺もあそこに入りたい
一緒に母さんと食事をしたい
俺は大丈夫だよ。違う世界で元気にやっているよ
と伝えたい
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