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「お母さん‥!!」
呼んでみるが此方を振り向く気配はない
聞こえていなかったのだろうと、淡い期待を抱いて
もう一度呼んでみる
が、何度呼んでみても、どんなに大きな声で呼んでみても此方を振り返ることはない
試しに幼い頃の自分を呼んでみる
すると、下にいた幼い俺はふっと消えたかと思えば
次の瞬間自分の目の前に現れた
「ねぇ、僕の邪魔しないで」
そう発する幼い自分の顔には表情が無く酷く不気味に感じた
幼い自分はそれだけ言うとまた食卓へと戻り、何事も無かったかのように母さんとの食事を始める
母さんもいなくなったことなど気にも止めていない、寧ろ気がついていないかのように話をしている
「なんだよ…それ」
一人暗闇に取り残され、下からは楽しげな会話が聞こえる
「俺だって…!!」
下へ行こうとすると引かれる感覚に陥り
ぐいぐいと後ろへ引かれ段々と2人との距離が広がっていく
そして視界が遮断され暗闇に一人取り残された
たとえ夢で会えていたとしても
なんら今の母さんとは関係なくて
俺が死んでしまったことには変わりはない…
でも、話せることなら話したかった
一緒に食事だって…
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