タランチュラも…空を飛べる!!

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ーーーー ノックをしてアキト様が寝ておられるお部屋に入った。 アキト様は寝ておられるようだが夢があまり良いものではないのだろう 悲しい、寂しいという感情がヒシヒシと伝わってくる 「おはようございます。アキト様」 早く夢から目覚めますように。 悲しい感情をこれ以上味わいませんように。 「‥‥おはようございます」 少し遅れて反応するように、アキト様が目覚めた。 目覚めたアキト様の瞳には涙がたまっていた 相手の考えている事がわかると同時に、相手の感情を共感しやすい体質の私。 アキト様の中に溢れる悲しみや寂しさを受けて私自身の心も悲しみや寂しさに溢れてしまう だめだ。私が落ち込んでてはアキト様の悲しみを拭うことなど出来なくなってしまう 気をしっかり持つのよ、チファ!! 私が落ち込んだ時に昔、あるお方にして頂いたように抱擁する アキト様の中の悲しみが少しずつ薄れていくのがわかる ‥‥良かった‥。 やがてアキト様はしばらくすると「もう大丈夫」とおっしゃった 確かに大分心の中は落ち着いておられるようだ‥ 何か声をかけた方がいいのだろうか? それともそっとしておくべき? 悩んでいるとアキト様と目が合う 「‥‥チファさんって睫毛長いな」 アキト様の心の声が流れ込んできた ‥‥元気になられてますね‥。もう‥。 昨日も私が想いを読み取ってしまうことを伝えたはずなのに‥ アキト様は私に心を読まれる事などまったく厭わずに、隠そうともしない ‥本当に面白いお方‥。 これ以上一緒にいたらアキト様のことだからまた変な事を次々と考えるのだろうな‥ 「アキト様、朝食のご用意が出来ております 昨日と同じ場所で待っておりますね」
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