せいっ!

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今日は、昨日ジクスさんに教えて貰ったばかりの広場に一緒に来ている 広場には昨日まではなかったお店が何店舗も出ていてとても賑やかで活気が溢れていた そんな広場でジクスさんは町の人と会う度に軽く話をし、ある人へは何気ない日常の事から、 ある人へは相談事へのアドバイスなど 町の人がとてもジクスさんを信頼し、ジクスさんと話すことを楽しんでいることが一緒にいてひしひしと感じることだった その間、俺は何をしようかと考え、昨日使い過ぎてまったく無くなってしまった食材を買いに行くことにした。 話の邪魔にならないよう小声で「行ってくる」と伝えると ジクスさんはごめんね と言ってお金を渡してくれた 一通り見終って買いたい物も無事買えた俺は ジクスさんと待ち合わせをしている場所へ向かう すると待ち合わせ場所には2つの影が見えた その片方はジクスさんで もう1人に近寄ると、俺に気付いたらしく男が「はじめまして」と声をかけてきた 「この方はこの町にある唯一の学校の理事長だよ」 そうジクスさんが紹介するその男の人は貫禄のある、少し後頭部が見え始めた穏やかそうなおじさんである 「はじめまして アキト・タカダです」 「今君のことを話していたんだ」 「僕の事ですか?」 「そうだよ 君は本来、学校に通う歳だと私は思ったんだ だが昨日の話を聞く限り、学校には通えていなかったという。 だから理事長に頼んで君を通わせて貰うことにしたんだ 勿論君が良ければの話なんだが‥どうかな?」 確かに俺は16歳だから学校に通わなければいけない年齢だし、前の世界でも学校に通っていた。 それに、この世界の学校に通うという事はこの世界の事を知る事に繋がる。 悪い話じゃ勿論ないんだが‥ 「学校、行きたいです… でもお金 、僕持ってないから…」 「そのことなら君が心配しなくて大丈夫だよ 君の学費は私が払うからね」 「えっ…! どうして? どうして昨日会ったばかりの僕のような赤の他人に そこまで親切にしてくれるんです?」 俺にはどうしても想像がつかなかった。 昨日会ったばかりで、殆どお互いのことを知らない。 ましてや、昨日話した内容の多くが嘘偽りの話だ。 そんな信用できない赤の他人をなぜこの人はここまで親切にしてくれるのだろう?
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