せっ、せっ、せーふ!

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不思議と悲しくはなかった 殆ど家に帰って来ない父親が 全く帰って来なくなっただけだ だけ と言うと可笑しいかもしれない けれど本当にそうなのだ 父親がいなくなっても自分の生活は 今までと全く変わることがなくて 普段と変わらない学校 普段と変わらない日常 家の中では前も母親と2人きりだったから変わりはない 貧乏になったって? いいや なっていない。 父親が生活費や学費を毎月、銀行に振り込んでくれるらしい それに母親もパートを始めた だからお金は前と何も変わらなかった 唯一変わったとしたら 俺の態度かもしれない 人をあまり信用することがなくなった 血が繋がっていようと 離れてしまう 家族であろうと 離れてしまう ならば血も繋がっていない、家族でもない 他の人間なんて尚更じゃないか 期待をしても裏切られる そもそも人に期待なんてしない方がいいんだ そして俺は今まで以上に他人に深入りはしなくなり 浅く広く、決して深く関わらず だからといって一人ぼっちにならないように… そう生きようと決めたんだ もう誰からも傷つけられないように‥悲しまないように‥ そう決めたんだ‥
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