オーブンブブブン♪

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「村長が…!早く医者を!」 「流石にこの出血の量じゃ助からないわ…」 「いや、既に…」 「そんな…村長!」 「村長!」「村長!」 ジクスの姿を見て、村人は愕然としながらもジクスの目覚めを期待するかの様に口々に呼び掛ける しかしその願いも虚しくジクスが目覚めることは二度となく、何度か呼んだ後改めてアキトも村人も認識することとなった 「‥こんな所に寝かせるのも失礼だ 誰か村長を運べるくらいの板を」 と誰かが言うとフラフラとした足取りで数人が家の中に入り板を持ってきた そこから村の大柄な男達がジクスに手を合わせてから板へと移動させる 誰が呼んだのか板に移動させると直ぐに村に一人だけいる牧師が小走りしながらジクス達の元へとやってきた 牧師はジクスの前へ行くと祈り始める その祈りを静かに聞いていた村人の中に 段々と嗚咽が混じりそれが連鎖をするかの様に至る所で嗚咽が聞こえ、その声も段々と泣き声へと変わっていく 村人が涙を流しているその中でアキトだけは涙を流さずただただジクスを見ていた ジクスを見つめる表情には深い絶望が写し出されていて唇は強く強く噛みしめられている その強く噛みしめられた唇からはやがて小さく「ブチッ」という音が聞こえ、唇を血が滴れた
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