オーブンブブブン♪

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「アキト」 その声は違う 違うと分かっていても、頭では理解していても 微かな叶わぬ希望を抱きながら振り返ってしまう 「…」 テッラだった 期待からの再び絶望 そしてテッラが生きていたことへの喜びと安堵 振り返り大量に付着している血が露となり驚くテッラだが周りの様子を見て理解したらしく「そっか…」と小さく呟く 「ごめんな アキト‥。 俺は止めたんだけど、でも心配だからって言って行っちゃったんだ 俺が止めてればジクスさんは死なずに済んだかもしれないのに…」 「違う テッラが悪いわけじゃない… 俺が殺したんだ…」 「‥‥え? なに…言ってんだよ… 冗談だよな‥?今はふざける場面じゃねぇぞ」 「冗談じゃない … 俺が殺したんだ」 切れた唇からの出血のせいで、口の中は鉄の味がした 「おい!今の本当か? 確か…村長の家に上がり込んだ余所者だよな!」 「どういうことよ!ちゃんと説明しなさいよ!」 「そうだ!ちゃんと説明しろ」 「そうだそうだ!」 テッラと話しているのを聞いた村人が声を荒げ、辺りは騒がしくなる 「ジクスさんは俺が逃げ遅れて …それで‥俺を助けてくれて死んだんだ… だから俺のせいだ。俺が逃げ遅れたせいだから‥ 俺がジクスさんを殺してしまったんだよ」 「お前のせいで! 村長はお前さえいなければ今頃無事でいられたんだ お前が村長を殺した! 余所者のお前なんかがいたから…!」 「そうだ! お前がこの村にさえ来なければ村長にこんなことが起こらずにすんだんだ この人殺し」 「村長が死んだ事だけじゃない。 今まで村には魔物なんて殆ど来たことないんだ! 今日魔物が来た事も、俺達の家…いや村が壊れたのもこいつがこの村に来たせいだ! まるで疫病神だな!この化け物!!」 「だから嫌だったのよ 余所者なんて昔から良いことなんて起きやしないのだから! いつも余所者がくると悪いことばかり!! 余所者は出てけ」 「出てけ」「出てけ!」 どんどんと声が大きくなりほとんどの人が一緒となってアキトへと罵声を浴びせる
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