1章『漂着』

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シチリア「…っ!!炎の壁…何それ!あたしをどうしようって言うの?」 ミル「どうもしませんよ、ここを通らずにあの人に会ってくれるなら。    …私、魔女なんです」 シチリア「魔女って、昔わんさか居た冒険者とか兵士とかで魔法使ってた人たち?      そんなの、もう我がアルメリアには居ないわよ」 ミル「ええ、忘れ去られた存在ですから。    私は、隠し立てするつもりなんてないですけどね」     シチリア「魔女の家に連れ込まれた上に、一方的に      会ってほしい人がいるだなんて、      どう考えても怪しい匂いぷんぷんよ。      ついでにこの部屋も嫌な臭いしかしないし」 ミル「私にとっては、貴方も含めてすごくいいにおいですよ」 シチリア「うっさいわね!一週間近くも逃げてたらお風呂も      水浴びも出来ないに決まってるじゃない。      …嫌なこと思い出しちゃったわ。出る前に      体洗わせなさいよ!」 ミル「お風呂なら喜んでお貸ししますよ。    でも、ここから出るなら私についてきてくださいね♪」 シチリア「…埒が明かないわ。とりあえず、その人と会えば      後は帰っていいって言うんなら、会ってあげる」 ミル「分かりました。でもきっと、気持ちが変わると思いますよっ♪」 シチリア「嫌に自信満々ね。あたしはそう簡単にだまされないわよ。      さ、早くお風呂用意して!」 ミル「はーい、ちょっと待っててくださいね」 ミル、水を汲みに去っていく。 シチリア「…変なトコ来ちゃったなぁ…最悪。      少佐、無事なのかな…もしかしたらあの傭兵が… シチリア「なんであたしだけ…やだよ、一人は嫌…少佐、少佐ぁ」 一章:『漂着』了
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