0人が本棚に入れています
本棚に追加
□ヴァルトハイム伯爵の邸
門の前にミルとシチリアが立っている。
ミル「こちらが、カルデン領主ヒャルマル・フォン・キージンガー・
ヴァルトハイム伯爵のお邸です。私たちは単に伯爵様とか、
領主さんとお呼びしてますけど」
シチリア「これまた、嫌に長ったらしい名前ね。
で、その伯爵様ってのが会わせたい人なの?」
ミル「当たらずとも遠からず、といったところですね。
シチリア少尉に会っていただきたいのは、その
娘に当たるザビーネちゃんですよ」
シチリア「貴族のお嬢様に会えって言うの?
ますます訳分からなくなってきたわ」
ミル「会えば分かるというものですよ、さぁ入りましょう」
ミル、慣れた手つきで門を押し開ける。
そこへ庭先で掃除をしていたメイドが駆けつける。
メイド「あぁ、ミルちゃん!無理しなくていいですよ、私が開けます」
ミル「いえいえ、大丈夫ですよ。今日はお客さんを連れてきたので、
邸の中で準備をしてくださるとうれしいです」
メイド「お客様?珍しいですね…この方ですか?」
メイド、シチリアを興味深そうに眺め回す。
シチリア「…ジロジロ見ないで!なんか変なものでもついてる?」
メイド「いえっ、そう言うつもりではないですけど…すみません」
ミル「身構えなくて大丈夫ですよ、この邸の方は皆いい人ですから」
シチリア「変態の知り合いっていう時点で信じられないわよ」
メイド「ミルちゃん、相変わらずの言われようですね…」
ミル「大丈夫、事実ですから。それじゃ、そろそろ入っても良いですか?」
メイド「はい!私使用人のイングリットと申します。お客様、
どうぞこちらへ」
最初のコメントを投稿しよう!