2章『邂逅』

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□玄関ホール メイド「(少し声を張って)フリートさん!今お手すきですか?     ミルちゃんがいらっしゃいましたよ」 執事「(やや遠巻きに)ああ、今参りますよ」 メイド「執事さまをお呼びしたので、もう少し待ってくださいね」 執事、玄関ホールへ小走りに到着する。 執事「ようこそいらっしゃいました…おや?    お隣の方は、どなたですか?」 ミル「はい、ご紹介しますね。こちらは、シチリア・トレダーノさん。    つい昨日、町の近郊で倒れていたところをエド君が助けたんです」 執事、一瞬不安げな面持ちでシチリアを見やる。 執事「…はじめまして、シチリア殿。    私、カルデン領主にしてこの邸の主たる    ヒャルマル・フォン・キージンガー・ヴァルトハイム伯に    仕えております、ゴッドフリート・フロムと申します」 シチリア「…シチリアです、はじめまして。      で、この子がその領主の娘さんに会わせたいって言うから      ついて来たんです」 メイド「あ、意外と丁寧な言葉遣い…」 シチリア「馬鹿にしてんの?あたし曲がりなりにも軍人よ!      最低限の礼儀くらいわきまえてるっての」 執事「…今、何とおっしゃいました?」 ミル「あ!あー、その、えーと…ぐんじ…ぐん…ぐぐぐぐ…    とっさに思い浮かびませんよー!うぅぅぅ」 メイド「ミルちゃんが壊れたー!」 執事「これは…我が君に報告しなければならないようですね」 メイド「ミルちゃんの様子を、ですよね」 執事「…君、その空気の読まなさはわざとですか?」 メイド「め、滅相もないですー!」 執事「とにかく、事態は急を要します。    今すぐにでも報告に上がらねば…!」
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