2章『邂逅』

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執事、ものすごい速さで階段を駆け上がる。 そこへ、すれ違いざまにゆっくりとヒャルマルが降りてくる。 ヒャルマル「(遠巻きに)おやおや、下が賑やかだね。       フリートもお客様が来たなら早く言えばよいのに」 執事「我が君ーーーーーー!!」 ヒャルマル、怒涛の走りを見せる執事をさっとよける。 執事、そのまま踊り場の壁に激突してノックアウト。 (ものすごい音、燭台やら飾ってある絵やらがしばらく揺れる) ヒャルマル「はっ!…おっとっと、間一髪。       フリート、そんなに焦っていると壁に…       あぁ、もうぶつかってしまったようだね」 メイド「これは大変!休憩室に寝かせてまいります!」 ヒャルマル「すまないね、頼むよ」 メイド「はい!よっこらしょっと!」 メイド、こともなげに執事を抱えて去ってゆく。 ヒャルマル「さて…客人とは、このうちの誰かな?」 シチリア「見れば分かると思いますけど」 ヒャルマル「おお、君か。自分から声をかけてくるとは。       物怖じしない性分なんだね、気に入ったよ」 シチリア「たった一言で気に入るとか、単純すぎないですか」 ミル「…という具合に、なかなか気の強い方なんです。    あ、お名前はシチリア・トレダーノさんだそうです」 ヒャルマル「シチリア…なるほど、オトラントの方かな?」 シチリア「とんでもありません。アルメリア人です!」 ヒャルマル「なるほど…これはこれは、ぜひともうちの娘に会ってほしい。       ミル、君もそう思ってここに連れてきたんだよね?」 ミル「ご名答♪」 シチリア「早く国に帰りたいんで、とにかく早く会わせてください」 ヒャルマル「まあまあ、そう焦らずに。慌てる士官は貰いが少ない…       功を焦ると昇進も遠くなるよ」 シチリア「それ士官じゃなくて乞食だから!      …てか、何であんたもあたしの正体知ってるのよ!」
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