2章『邂逅』

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そこへ、階段からゆっくりとザビーネが降りてくる。 赤いリボンに、貴族にしては質素なスモックとカプリパンツといういでたち。 ザビーネ「そこはぜひ、このわたしに説明させてもらえないかな。      ようこそ…アルメリア王国軍少尉にして、      オトラント生まれの女の子、シチリア・トレダーノさん!」 ミル「わぁ、何かおいしい登場の仕方です!」 シチリア「ただのカッコつけでしょ。で、あんたが      ザビーネさんですか?」 ザビーネ「その通り。それで、さっきの質問だけどね。      アルメリア王国軍がオトラントの市民軍に      敗れ去ったと言うニュースは、たちまち      このカルデンにも伝わってきたんだ」 ヒャルマル「何せ、かなり近くだからね」 ザビーネ「領邦周辺で起こった事件は、たとえ小さなものでも      徹底的に調べるのがうちの父さん。      従軍していた士官が女の子で、かつ行方が分からなくなっている…      そんなところまで、一昨日までのうちには調べがついていたんだよ」 シチリア「とんだストーカーね。しかも名前まで分かるなんて」 ミル「だってシチリア少尉、軍服の裏にかわいらしい縫い取りが    あったじゃないですか」 シチリア「見たの?枠付けてハートマークまで織り込んだあれを?      最悪…あれ誰にも見られたくなかったのに…」 ミル「可愛い…しかも自分で言うところがたまらないですね!    うふふっ、知れば知るほど女の子らしさが♪」 シチリア「あんたちょっと黙ってなさい」 ザビーネ「ごめんね、この子スペック高そうに見えるけど割と残念な子なんだ」 シチリア「そんなの、こいつの家で介抱されてるときから分かってたわ」
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