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そこへ、階段からゆっくりとザビーネが降りてくる。
赤いリボンに、貴族にしては質素なスモックとカプリパンツといういでたち。
ザビーネ「そこはぜひ、このわたしに説明させてもらえないかな。
ようこそ…アルメリア王国軍少尉にして、
オトラント生まれの女の子、シチリア・トレダーノさん!」
ミル「わぁ、何かおいしい登場の仕方です!」
シチリア「ただのカッコつけでしょ。で、あんたが
ザビーネさんですか?」
ザビーネ「その通り。それで、さっきの質問だけどね。
アルメリア王国軍がオトラントの市民軍に
敗れ去ったと言うニュースは、たちまち
このカルデンにも伝わってきたんだ」
ヒャルマル「何せ、かなり近くだからね」
ザビーネ「領邦周辺で起こった事件は、たとえ小さなものでも
徹底的に調べるのがうちの父さん。
従軍していた士官が女の子で、かつ行方が分からなくなっている…
そんなところまで、一昨日までのうちには調べがついていたんだよ」
シチリア「とんだストーカーね。しかも名前まで分かるなんて」
ミル「だってシチリア少尉、軍服の裏にかわいらしい縫い取りが
あったじゃないですか」
シチリア「見たの?枠付けてハートマークまで織り込んだあれを?
最悪…あれ誰にも見られたくなかったのに…」
ミル「可愛い…しかも自分で言うところがたまらないですね!
うふふっ、知れば知るほど女の子らしさが♪」
シチリア「あんたちょっと黙ってなさい」
ザビーネ「ごめんね、この子スペック高そうに見えるけど割と残念な子なんだ」
シチリア「そんなの、こいつの家で介抱されてるときから分かってたわ」
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