2章『邂逅』

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エド「じゃあ、これを見てみるといいぜ。    …確かそこの棚だったけなぁ…」 エド、分厚い歴史書を棚から取り出す。 エド「この歴史概説書は、アルメリアの宰相だった人の    ご先祖様が書き著したものなんだ」 シチリア「プラド・カラヴェラス…?!      100年前の宰相と同じ姓じゃない!」 ザビーネ「そして、その歴史書にある地図を良く見て。      たしか、表紙をめくってすぐ次のページだよ」 シチリア、地図を見やっているうちに震えだす。 シチリア「どういうこと?ルテティアもセビリアオトラントも、      一つの国じゃない…昔こうだったなんて、      そんなの習ってない、知らない…!!」 ヒャルマル「更に言うとね…50年くらい前までは       この歴史書を基にした教育がアルメリア本国でも       行われていたんだ。先代の国王だったかな?       それを差し止めたのは」 シチリア「どっちなのよ…どっちが正しいのよ…      あたしは、何も知らなかったの?      嘘ばかり教えられてきたっての?」 ザビーネ「歴史的に見れば、嘘。けれど、君の国にとってみれば      真実。その時々で真実は塗り替えられてしまうんだ。      …一番偉い人間たちの意思で、いとも簡単にね」 シチリア「どうしてくれるのよ…どうしたらいいのよ!      あたし、もう帰れるところが無いじゃない!!」 ザビーネ「帰れるところなら、あるじゃない。      君にも実家があるでしょ?アルメリアじゃなくて、      オトラントにね」 シチリア「…何馬鹿言ってんのよ…市民軍に傭兵、つまり敵の真っ只中を      通り抜けてくのよ?無理に決まってるじゃない」 ザビーネ「じゃあ、何処に帰りたいの?」 シチリア「…それは…」
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