1章『漂着』

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□同じく、ミルの家 シチリア「んん…うぅ…」 ミル「あら、お目覚めですか?」 シチリア「んっ…うぐっ!!臭っ!!何この部屋!!      きのこにカビ入りチーズに…しかもこのベッド苔むしてる!!      …ってかあんた誰よ!」 ミル「はじめまして、おはようございます♪    私、ミルドレッド・シュタインマイアーといいます」 シチリア「長いわ!!そしてこの家に似つかわしくない、      いろんな意味で悔しいその美貌!!」 ミル「素直にありがとうございます。面倒臭ければ    ミルと呼んで結構ですよ」 シチリア「誰もそんな事聞いてないわよ。      それよりここ、どこなの?なんか男の子に      助けられて、気がついたらここに…って事しか      覚えてないんだけど」 ミル「ここは、ファレン地方のカルデンという街です。    さっきの男の子は、エドムント・ベック。    私はエド君、って呼んでますよ」 シチリア「ファレン?じゃぁあたし…」 ミル「国境を越えてきた、と言うことですよね」 シチリア「何であたしが言う前に言い当てるのよ」 ミル「その何よりの証拠が、これですから。    本当はお洗濯したいんですけど、汗と人肌の    香ばしさにつられてつい、そのままにして干してるんですよ…    本当にいい匂いでうらやましいです、すりすり」 シチリア「ちょっと何してんのよ!返しなさいこの変態!!」 ミル「ごめんなさい、今のは素直に謝らせていただきます!    でも、でも…病み上がりなので安静にしていてくれると助かります!」 シチリア「ふざけんじゃないわ!変態の世話になんかならないわよ!      今すぐこっから出して!!あたしは…国に帰らなきゃいけないの!」 ミル「それって、どこですか」 シチリア「軍服見りゃ分かるでしょ?天下にその名を轟かす、      アルメリア王国に決まってるじゃない」 ミル「ふぅん…つまり、あなたはアルメリア人、と言うことなのですね」 シチリア「そうよ。何当たり前のこと聞いてんのよ」
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